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【感想・考察】映画『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』カナダで愛された画家の半生をかわいいお家と絵で描きます

2020年12月14日

今回は、サリー・ホーキンス、イーサン・ホーク実力派二人が主演。『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・スミス』(2018年公開、カナダ・アイルランド合作)。

カナダで愛された画家モード・ルイス(1903年3月7日~1970年7月30日)の半生をを元に、映画化されました。

興味がある人

実在した人物の生涯を作品にしたものが観たいな・・・

それじゃあ、大切な人と一緒に観たらいいなぁと思う作品・・・
感動作の『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・スミス』
はどうかな?

モモセ
興味がある人

アートな感じの作品なのかなぁ
ターシャ・テューダーさんを思い出した。

ターシャおばあちゃんね!
お庭をすごく手入れされていて絵本作家でもある方だよね。
確かにアート・・・
今回は小さいお家の中に絵を描いていくアートだから、ちょっと違うかな。
でも、ターシャもモードも生き方としては似ていて共通点がある気がする。

モモセ
興味がある人

心が温まりそうな感じがするし、
どんなお家なのか、どんな絵を描いていくのか
観るのが楽しみになってきた・・・

アート部分だけでなく、夫婦愛も描かれているよ~

モモセ
興味がある人

いいね~見どころなんかをもう少し教えて!

ちなみに、ターシャの映画『ベニシアさんの四季の庭』(2013
年公開)も興味があったら観てみてね!

モモセ

まだ観てない人にも読んでもらいたく、私なりの視点になりますが、つづってみたいと思います。

 

映画『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・スミス』の作品情報

1、あらすじ

幼い頃から重いリウマチを患っていて手足が不自由なモード(サリー・ホーキンス)。絵を描くことを愛していた

カナダの小さいな港町で叔母と一緒に暮らしていたが、兄や叔母の自分に対する厄介者扱いに嫌気がさし、自立しようと決意

魚の行商を生業としていたエベレット(イーサン・ホーク)が家政婦を募集中であることを、たまたま知った。

モードは、住み込みの家政婦になろうと決意し、エベレットの家に押しかけていった

初め彼女を雇うことに乗り気でなかったエベレットも、熱意に押されて住み込みで雇うことになった。

エベレットは今を生きるのが精一杯の野暮ったい男性。

孤児院育ちで学もないせいか、モードに対する扱いはひどいものであった。暴君というにふさわしい人だった。

二人の同居生活は散々たるものであったものの、モードは住み込みを続け・・・そして、絵筆をとり壁などに絵を描いていった

徐々に、二人の心は通じ合うようになり・・・夫婦になり・・・

2、予告動画

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映画『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・スミス』の感想

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出典:(C)2016 Small Shack Productions Inc. / Painted House Films Inc. / Parallel Films (Maudie) Ltd.

1、人間味あふれるサリー・ホーキンス&イーサン・ホークの演技に魅了!

本作品のみどころは、主演二人の独特な雰囲気やくせのあるキャラクターを持ち合わせての人間味あふれる演技でしょう。

実際のモードとエベレットの生活を垣間見ているかのようなリアリティ・・・画だけを見ていると、ドキュメンタリー番組のよう

まず、モード役サリー・ホーキンスの演技・・・実在されたモード同様に、小柄で自由が利かない体生き写しかのように再現・・・すごすぎる。

不自由さを出しながらの歩き方首の傾げ方絵の描き方など細部にまで表現されていました。

彼女の表情は、ほとんど大好きな絵と夫となるエベレット(イーサン・ホーク)に対するものでありました。
夢中になる顔、
怯えている顔、
健気に従おうとする顔、
おどけた顔、
満たされている笑顔、

体の不自由さの中からでてくる表情がはじめの頃痛々しく感じてしまったのですが、しだいに痛々しさが消え穏やかに見えてきた気がします。

体の不自由さは年々増しているのに、それを打ち消すくらいの心の自由を絵からも夫からも得たときの安心感が演出と相まって表現されたのでしょうか・・・素晴らしいです!

では次、エベレット役のイーサン・ホークの演技・・・かんしゃくを起こしたりして暴君化している様が、とにかく怖かった


怖いの一言・・・こんな怖い人と・・・この人とモードは一緒にこれから住んで夫婦になっていくって?どうやって?と前半のシーンを観て、疑問を持ちました。


全くもって、二人が結ばれることが想像できない感じになっています。

横暴な言葉だけでなく表情や雰囲気からくる圧倒的な威圧感を醸し出す演技・・・圧巻です。

暴君が、徐々に変化していくんですよね・・・この微妙な変化がまた上手い。

暴君でモードを毛嫌いしていたのに・・・

次第にモードと会話をするようになり、
布団をかけてあげるようになり、
彼女の才能を認めるようになり、
家事をしてあげるようになり・・・

言葉というよりふるまい少し穏やかになっていく表情変化を表現していました。

不器用で愛に飢えていた男なんですね・・・ものすごく暴君だったのに、いつの間にか寡黙ないい男に見えてきたから不思議。

演技マジックにまんまとはまりました。

2、小さいお家からあふれ出る愛を感じ取れる演出!

モードやエベレットの演技には演出家さんの知恵や想像がたくさん入っていることでしょう。

そして、本作品の演出で一番印象的なのは、二人が存在するお家の中のシーンです。

40年近い歳月を経て変わっていくお家の中の様子が、壁に描かれた絵や使いふるされた絵の具・・・そしてモードの老いと悪化するリウマチによる体の変化、二人の間の空気感などを通して、描かれています。

実際4メートル四方しかない広さのお家のようですが、ところどころに描かれていた絵ががしだいに増えていき、所せましと絵がお家を埋め尽くしていくように変化していく様を見て、心温まると同時に、長い歳月を感じずにはいられませんでした。

彼女の描く絵と比例して、二人の愛が増している様を描いた演出に胸がいっぱいになりました。

いつの間にか存在していた二人の小さなお家にあった大きな暖炉も印象的で、二人だけでなく、視聴者の心を温めてくれているような気がしました。

映画『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・スミス』の考察

画像4
出典:(C)2016 Small Shack Productions Inc. / Painted House Films Inc. / Parallel Films (Maudie) Ltd.

1、人生の変え方をモードが教えてくれる!

モードの人生は、奇跡の連続で彼女にとってしあわせな半生であったことでしょう。私たちも、奇跡を呼び起こして幸せになりたいものです。そのためにどうすればいいのでしょうか。

人は今いる現状に不満があったとしても、なかなかそこから抜け出すことが出来ません。我慢したり、文句を言ったり、ストレスを抱えて生きていることが多いです。

でも、納得のいく人生を送りたいのであれば、惰性でなんとなく生きるのではなくて、変化することを恐れてはいけないですよね。

『人生を変えたい、変化したい』と思いたったら、環境を変えることが一番でしょう。

環境を変えるには、①住む場所②付き合う人③仕事を変えようとよく言われています。

本作品のモードも、不自由な体ながらも自立するために『住んでいた家に戻らない』『自ら家政婦になる』と決断したところ、偶然にも求人募集をするというエベレットと出会います。

家政婦になると決心し(仕事を変える)、
エベレットと出会い(付き合う人を変える)、
エベレットの家に押しかけ住み込みで働くことに(住む場所を変える)。

一気に3要件をそろえ、環境を見事に変えました

そこから、あれよあれよと彼女の人生がいい方向に進んでいきました(はじめはどうなることかと思いましたが・・・)。

仕事に関しては、家政婦業がしだいに絵を描くことにシフトしていったり・・・
付き合う人に関しては、エベレットが孤独で愛に飢えていた人であり境遇がモードと似ていたこと、実は愛情深かったこと、商売上手だったこと、絵を描かせてくれたことと、モードにぴったりの相手でありました。
さらに、住む場所に関しては、人里離れたところだったこと、モードの絵が似合うかわいいお家だったことと、モードが絵を描くに最適な場所でありました。

このように奇跡が奇跡を呼んだエレメントがたくさんありました。

置かれていた環境に不満があったとはいえ、すぐに決断、行動にでたからこそ得られた奇跡の連鎖。

行動力からの環境の変化幸運へ導いてくれるのだと教えてくれました。

私も今まで二度、人生をリセットしたい時に住む場所を変えました。失恋したときと、目指していた目標達成に失敗し絶望感にさいなまれた時です。

住む場所を変えたことにより、新たなな出会いがあり、昔の違う場所にいた自分がまるで自分でなかったかのような感覚に陥りました。新しい自分の存在により色々吹っ切ることができました。

私の場合も、環境がが変わることにより人生が新たに動き出しました。

現状に不満を抱いていたり、人生を変えていきたいと思う人には、行動を移すきっかけになるかもしれないので、ぜひ観てほしいですね。

2、自分軸で生きることの大切さをモードが教えてくれる!

モードの人生は奇跡の連続であったわけですが、彼女の暮らしはわずか4メートル四方の小さいなお家の中で、電気もガスもない質素なものでした。

そんな質素な生活をしていた彼女が、幸せであったといえるのはなぜなのでしょうか。


幸せの定義なんて人それぞれでしょうが、彼女自身が「私の人生、幸せだった。」と断言していますが、あくまでそれは彼女の主観です。

では、客観的に彼女は幸せといえるのか、ちょっと考えてみたいと思います。

結論からいうと、客観的に見ても、モードの人生は幸せだったと私は思います。

まず、一つ目の理由は、愛する人と一緒にいれたからです。人は一緒にいればいるほど、愛が深くなっていきますよね。エベレットとモードは、誰もを寄せ付けることのない絆であったことが描かれていましたし、愛の深さは相当なものであったと思います。

二つ目の理由は、大好きな絵を描くことに徹することができたからです。人は好きなことをする時、無心になれます。無心になれば、本気で今を生きられるようになります。モードの絵を描いているときの姿は、本気そのもの。今その瞬間を筆とともに生きているように感じ取れました。

三つ目の理由は、”他人と比較しなくていい”才能(仕事)と場所、つまり環境にめぐりあえたからです。環境を変えることができたことがモードの幸せになるきっかけになったと前述しましたが、彼女にとっての環境は、彼女の半生においてきわめて大きな意味をもっていると私は思います。

この三つ目の理由こそ、彼女が彼女らしく幸せに生きられた一番の理由であり、今を生きる私たちに向けられた彼女のメッセージである気がしてなりません。

私たちは、物心ついた時から、競争の中に身を置いてきました。学校に行き成績で序列がつけられ、会社に行けば上司の顔色をうかがったりして自分の将来が有利になるようにごますりをしたり・・・そんな社会から身を引きたくなること、ありますよね。

モードは、リウマチというハンデがあったので、幼い頃から人からいじめられたり、見下されたりしてきたことでしょう。絶えず、人との比較の中に自分が位置づけられている状態はモードにとって耐え難いものがあったはずです。自分の存在価値さえ分からなくなって。

でも、彼女は誰も真似できないかわいいタッチの絵を描く才能がありました。絶対的存在を見せつける彼女の絵に、比較対象などありません

さらに、その絵を描くことのできるお家がありました。お家は、人里離れた滅多に人が来ない場所にあり、彼女に口出ししたり、いちゃもんをつけたり、ねたんだり、さげすんだりと比べてくる人もいません

いくら好きなことをしていて才能にめぐりあったとしても、競争の中でずっと生きていては途中でつらくなって辞めたいと思っても無理もありません。オリンピック選手などがその例であるかもしれません。順位など考えずにできていた時は大好きだったのに、だんだん年齢があがり競争に勝たなければならないというプレッシャーで逃げ出したい気持ちになる・・・

モードは、自分の力で、自分だけの世界で生きた人であり、競争社会から抜け出た先駆者のような存在だと思います。

自分軸で生きて楽しいよ~幸せだよ~と彼女が教えてくれている気がします。

人里離れたところに移住してのんびり暮らしたいと思う人が最近増えてきていますね。

これは、自分らしく、自分軸で生きたいと思う人たちが増えてきている証ではないでしょうか。

そういった意味で、本作品は自分の生き方を見直すいいチャンスなのかもしれません。

人と比較しない、自分軸で生きることが競争社会で疲れきっている私たちには必要になってきているのではないでしょうか。

幸せの定義は人それぞれなのは確かですし、本人が決めることです。

でも、ちょっと立ち止まって自分軸で生きているか本当に自分は幸せといえるのかをこの作品を観て考えてみてもいいかなと思います。

まとめ

感想、考察を書いてみて、つくづく深い作品だなぁと思いました。

視覚的にも楽しいし、愛が深まる二人の生活を見るのも幸せだし、そして、自分の人生を見直そうと思える。

そんな素晴らしい作品ですね。

心が温まる本作品・・・大切な人と観るとさらに相手のことが愛おしく想えるのではないでしょうか。

ぜひ、ご賞味あれ。

 

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