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【14歳柳楽優弥の衝撃デビュー作品】映画『誰も知らない』ネタバレなし感想・考察~育児放棄を題材にした実話ベースの物語!

2020年11月24日

今回は、演技派俳優柳楽優弥さん主演の映画『誰も知らない』(2004年公開)について。

ドキュメンタリーな感じで映像をとっていくことでおなじみの是枝裕和監督作品としても有名です。

興味がある人

30代の柳楽君見てたら、若いときの彼の作品が見たくなってきたな~

『誰も知らない』なんてどう?
これは、間違いなく彼の代表作

モモセ
興味がある人

あったね~!っていっても、見てないな・・・
どんなのだっけ?

実話に基づいた切なくなる作品だね。
育児放棄という社会問題をはらんでいて・・・

モモセ
興味がある人

なるほどね~
実話に基づいたのは見たくなるな。
もっと詳しく知りた~い!

まだ観てない人にも読んでもらいたく、私なりの視点になりますが、つづってみたいと思います。

映画『誰も知らない』の作品情報

1、あらすじ

東京でアパートに暮らす母親(YOU)と兄妹4人。一見すると、どこにでもいそうな仲良し家族ですが・・・実際子どもたちはそれぞれ父親が違うという複雑な一家。12歳の長男の明(柳楽優弥)をはじめ、子どもたちは学校に通ったことがありません。下の子たちは家の外に出ることすら許されていませんでした。

すべては、母親の身勝手な考え・ふるまいによります。子どもたちをかわいがってはいるものの、男遊び中心の生活で深夜すぎての帰宅を繰り返していました。長男の明は、おにいちゃんらしく妹や弟たちのために家事を率先してしていました。・・・そんな生活を続けていくうちに、新しい恋人ができた母親は家を留守しがちになり、やがてメモを残し姿をくらまします。子どもたちの生活費を現金書留で送るだけになってしまいました。

「すぐに帰ってくる」と信じてやまない子どもたちの過酷な”誰も知らない”生活が始まります。その先に待ち受けているのは・・・


2、予告動画

映画『誰も知らない』の感想

出典: (c)「誰も知らない」製作委員会

1、柳楽優弥のすべてが本作品をけん引!

この映画は、柳楽優弥なくして成り立たないといえるでしょう。

あどけなさの中にどっしりとした大物感がこの当時からでていて、やはり目を引くものがあります。

彼の存在自体がこの映画を引っ張っているなぁと感じました。

もちろん、存在だけではありません。

日々変化する環境下での心情の移り変わりを発する言葉、顔つき、表情・・・体全体を使ってあたかもその環境に置かれているかのように見事に表現されていました。

母親代わりを自分が引き受けるという気負いが感じられるシーンでは、妹や弟の面倒をしっかりみる心優しいお兄ちゃん

ゲーセンに行ったり、家に友達を連れてきてははめをはずすシーンでは、年頃のやんちゃな男の子

母親がいなくなり、いろいろな我慢が限界に達し、妹や弟たちをぞんざいな態度をとってしまうシーンでは、やり場のない気持ちを発散する浮浪児

どのシーンをとっても、置かれているその時々の状況をうまくくみとっていたというか・・・映し出していました。

普通の家庭で育っている普通の子が経験すること、温かいご飯、学校、習い事、お風呂・・・こういう当たり前のことを知らずして、苦労に苦労を重ねる生活の変化を、切なくなりながらも食い入るように見てしまいました。

友達と遊んでいるときに見せた笑顔・・・あれは、本物の笑顔であって、唯一普通の子でいられた瞬間だったのでしょう。

2、是枝監督の世界観を楽しめる!

上記では、柳楽くんの存在、演技のすばらしさに触れましたが、そのほかの子どもたちも母親役のYOUも映画の中であるということを忘れさせてくれるほどリアルな自然な演技をしています。

この自然な演技を生み出せるのは、是枝監督ならではの映画の撮り方にあるのでしょう。是枝監督は、子どもたちやYOUに台本を渡さずに口答で伝えるという手法を使ったといいます。アドリブが出てくれば脚本よりも優先させるという形でつくりあげていったそうです。

あと、長いスパンにわたっての撮影だったようで、現実の子どもたちの成長劇中の子どもたちの成長とがマッチしているのもリアリティを作っている一因になっていました。目で見てわかるほどの成長が見てとれました。

成長とは反比例して、生活が荒れ狂って家の中に異臭が漂い・・・破綻へと化していく

小さくなってしまったクレヨン・・・
ヨレヨレになってしまった服・・・
ほとんど何も入っていない冷蔵庫・・・
公共料金の請求書の山・・・

 
母と団らんしていた頃の子どもたちの笑顔も記憶の彼方にいってしまっていて生きる活力もなく・・・の表情・・・

部屋と子どもたちが醸し出した非現実的な空間が今でもわたしの目に焼き付いて離れません。

3、実話をモチーフにしているけれどソフト!

この作品は、1988年に発生した巣鴨子供置き去り事件をモチーフにしています。

実話であり育児放棄が題材となると、どうしてもに批判が向けられます。

現実の母親は汚れていて誰もが怒りを覚えるむごたらしさがあるのかもしれません。

この映画の中でも、長男の明がしっかりしてきたばかりに、家のことを全て放置し男遊びに奔走する母親の姿がありました。

どうかしています!許せません!!

ただ、子どもたちと接するときの母親のチャーミングさかわいがる姿を随所に取り入れいたことで、実話よりも柔らかい印象
与えているんだろうなと感じました。

内容が切ないだけに、高く評価できる点だと思いました。

YOUさんの適当でおバカな感じがチャーミングで、なぜか嫌味がなくてよかったです。

映画『誰も知らない』の考察

1,ラストに子どもたちのいつもと変わらない日常を描いた意味とは?

ネタばれしない程度に書きます。

本作品の最後のシーンは、子どもたちが寄り添いながら、いつもと変りなく日常を過ごしていて、いつもと変りなく自分たちのアパートに帰っていくというもの。

日常の中の予期せぬ衝撃的な展開さえも(これ以上は書けませんが)時間の流れの中に誇張されることなくあって、受け入れられるとか受け入れられないとかそういうことを考える余裕さえもなく、ただ子どもたちにとっての日常が続いていく・・・だけ。はたからみれば、非日常を子どもたちは生きているのだけれど・・・

そんな締めになっているわけです。

そうせざるを得ないのか・・・子どもたちの感情が無になってきてしまったのか・・・想像力を働かせようとしても、おぼつきません

いずれにせよ、子どもたちにとっての日常がこれからもずっと淡々と続いていくことを思わせるシーンで、残酷さをより強烈に視聴者に植え付けようとしているように思われます。

わたしたちは、いったい彼らに何をしてあげられるのでしょうか。

2、タイトル『誰も知らない』に込められた思いとは?

タイトルについて、直感的には、母親から育児放棄された子どもたちのことを誰も知らないんだろうなぁと。

わたしなりには、このタイトルには大きくふたつの意味が込められているのではないかと思いました。

まず一つめが、育児放棄されている子どもたちのことを気づかない、気づこうともしないという現実があるということです。

劇中、アパートの大家さんも一度家賃の取り立てにきますが、心配する様子を描くようなことはされていませんでした。

同じアパートの人や隣人たちもあの家は・・と気にとめることするらしませんでした。

現実社会では、虐待や育児放棄されている形跡(栄養失調やあざなど)があり、隣人や学校の先生が感じることがあったとしても家庭のことに介入できないということにスポットがあてられています。

本作品は、それ以前の問題で、気づいてもらえない、気づいたとしても無視している状態で、より深刻さを物語っているように思います。

次に二つめが、子どもたちの「僕たちのことを誰も知らないんだ!!」というこころの叫びであるということです。

本作品が、母親や第三者の視点ではなく子ども心情を中心にして描かれている点からもいえます。

誰か助けてほしい・・・
でも、母親がもうすぐ帰ってくるかもしれない・・・
でも、誰かに助けを求めてしまったら、僕たち兄妹がバラバラに引き裂かれてしまうかもしれない・・・
どうすることもできない・・・

相反する思いが日に日に錯綜して、子どもたち(特に上のふたり)を苦しめていく・・・

ぶつける矛先のないどうしようもない気持ちを、かろうじてこころの中で叫んでいるようにわたしには感じます。

3、是枝監督作品『万引き家族』『そして父になる』とを比較して

是枝監督作品の有名どころといえば、わたしの知る限りでは、本作品と『万引き家族』『そして父になる』です。

いずれの作品も、家族のあり方を問うていて、もし自分が同じ立場にあったらどう考え、どう行動するだろうという議題を与えてくれます。

『万引き家族』では、犯罪に手を染めてまでも生き延びようとする血のつながらない家族の絆をどのように捉えればよいのか・・・

『そして父になる』では、血のつながらない手塩にかけて育ててきた息子!?と血のつながりはあるが見ず知らずの家族に育てられた会ったばかりの息子!?・・・二人の息子!?・・ 誰の父になるのか、いかにして父になるのか?

そして、本作品『誰も知らない』


社会から隔離された特異な環境下で非日常を日常のように生きる子どもたちを助けてあげられる術はあるのか?

このように、それぞれの議題が難題であり、ゴールがはっきりしないところも共通しています。

ただ、本作品は他2作品と違う点があります。

①子どもたちや親(当事者たち)ではない私たち(隣人、社会)(第三者)にも身近にかかわること
②核家族化で隣人との付き合いもほとんどなくなってしまった現代社会において起こる可能性が現にあること

なので、他の2作品に比べて、ぜひともも模索しなければならない議題なのではないかと思いました。

是枝監督作品は、社会問題を浮き彫りにするだけでなく、まだ顕在化していない新しい家族のかたちをも提示してくれます。

これからでてくる家族をテーマにした監督作品からも目が離せません。

まとめ

育児放棄という切ないテーマなだけに、見たい人、見たくない人がいるでしょう。

ただ、社会問題にもなっているテーマなので、ためになるし、いろいろ考えも深まるし、見て損はないと思います。

是枝監督の作風が好きな人に限らず、多くの人の共感を呼ぶ作風になっていると思います。


ぜひぜひ、お試しあれ。

今回はこのへんにしておきます。

以上

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