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映画『ゆれる』ネタバレなし感想・ネタバレあり考察~オダギリジョー×香川照之主演!視聴者の心を揺さぶる兄弟の苦悩・葛藤!

2021年6月10日

今回は、オダギリジョー、香川照之主演、映画『ゆれる』(2006年公開)。

観ている人の解釈の分かれる作品って、どう思う?

モモセ
興味がある人

いいと思うけど・・
映画を観終わった後に、いろいろ盛り上がれるし

そうだよね~同感!
中には、解釈を視聴者に委ねるのって卑怯って思う人もいるみたいだから・・・
同じ人が観ても、観た年代だったり、観たときの心情だったりが違うと違って考えれたりするところこそが
映画鑑賞の醍醐味に私は感じるけど
ね~!

なら、よかった。
オススメ映画『ゆれる』!
解釈がゆれる映画・・とてもよくできた作品に思えたので。

モモセ
興味がある人

へぇ~
興味深いタイトルだなぁ。
みどころなんかも教えてほしいなぁ。

 

映画『ゆれる』の作品情報

映画『ゆれる』のあらすじ

地元を離れて、東京でカメラマンとして自由に暮らしてい弟・猛

一方、地元で実家のガソリンスタンド継ぎ、父と同居する兄・稔

母の法事のために帰省した弟は、幼馴染でなおかつ昔の恋人・智恵子と再会する。

智恵子は弟・猛の昔の恋人でもあった。

帰省した次の日、兄・稔、弟・猛、智恵子は、吊り橋のある渓谷へ遊びに行く。

まさかこんなことが・・・吊り橋の上から智恵子が落下することに。

智恵子のそばにいたのは兄・稔。事件か?事故か?

裁判が進むにつれ、物語はとんでもない方向へ・・・

映画『ゆれる』の予告動画

映画『ゆれる』のネタバレなし感想

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(C)2006「ゆれる」製作委員会

揺さぶりの効いた映画にぴったりのタイトル!

本作のタイトルの付け方は秀逸ですね。
まずこのタイトルが目に飛び込んできたとき、『何が?』って反射的に思いましたよね!?・・すでにタイトルを目にした人の心に揺さぶりをかけてますね

モモセ

内容的には、
舞台となる吊り橋が『ゆれる』
弟と彼女の関係が気がかりで兄の心が『ゆれる』
裁判中に兄の心が『ゆれる』
兄が何を考えているのかよくわからなくなり弟の心が『ゆれる』
視聴者も同じく心が『ゆれる』
急展開に兄も!?視聴者も心が『ゆれる』
弟の証言をきいた兄の笑みに視聴者の心が・・・解釈が『ゆれる』
兄のラスト笑みに視聴者の解釈が『ゆれる』

ゆれる吊り橋で起こった出来事をきっかけとして視聴者をも巻き込んだ揺さぶり・・・実に巧妙ですね。

作品の中の何気ない一言をとってタイトルをつける場合もあるし、それが作品の意味づけになんの意味もなさない場合も多々ある気がします。でも、本作品のように作品の情景、心の描写、解釈にまでタイトルが絡んでいるのは珍しいのではないでしょうか。

稔・香川照之×猛・オダギリジョー、兄弟役にはワケがある!

本作の兄・稔と弟・猛・・・何もかも対照的

モモセ


風貌、生き方、性格・・・
オダギリジョー演じる弟猛は、『チャラい見た目通りチャラい男』『地元を離れて東京で写真家として生きてる』『適当な感じ』『自由人で自分本位』。
一方で、香川照之演じる兄稔は、『見た目通りの真面目な男』『地元のガソリンスタンドでずっと働いている』『しきたり重んじる』『保守的でお人好しで他人本位
ざっくりといえばこんな感じでしょうか。
作品の至るところに対照的な二人を観ることができます。


で、この兄弟、仲が悪いわけではなく・・・むしろ、自分にない部分を持っているお互いを尊敬していて、そのことを言葉にしているから、少なくともうわべでの仲の悪さは見て取れないんですよね。
そこが、本作品でのキーポイントだと思います。
仲が悪くないけど・・・実は・・


事件の裁判が進行する中で、そして、兄弟が接見する中で、ある意味塗りたくられた二人の関係があからさまではなく少しずつじわじわと崩れていくというか、メッキがはがれていくようになるのですが・・・その部分がお見事でした。
兄弟のうわべでは見て取れない関係を表情だったりしぐさだったりで心の機微を表現しないといけないわけです。そういう繊細な演技を見事にできるであろう香川×オダギリコンビに託すことになったのではないでしょうかね。
特に、香川さんの殺人の被疑者として証言台にたった時に放つ雰囲気、声のトーン、表情すべてが狂気じみていて、一視聴者として私の心は揺さぶられ、いったい真実はなんなのかわけがわからなくなりました。

物語の焦点は、『事故か?事件か?』にみせかけて実は・・・

本作は、吊り橋から智恵子(真木よう子)が転落した事件についてそばに唯一そばにいた稔が突き落としたのか否かということが争点になっています。事件か事故かについて、当時の状況をくわしく弁護人、検察官は兄弟に尋問するので大切な部分であることには変わりありません。

だけど、物語の核となる部分は、そこじゃなかったんですよね・・・

モモセ


事件か事故かを明らかにしようとする過程で生じた兄と弟の本当の関係が核であったのだと思います。

上辺では上手くいっているように見えた兄弟の関係が、見えないところで歪んできていたんですね。
で、吊り橋事件によって、そこの歪みが徐々に浮き彫りになっていき、ついに顕在化してしまいました。
人間のドロドロした醜い部分、嫉妬、憎悪など・・・誰しも持ち合わせていても何ら不思議ではないけれど、それが兄弟間で起こるとかなり厄介だなぁと思いました。本作は智恵子が2人と絡み合う関係であって、その智恵子の事件ですからね。

この脚本構成、見事にはまりました。兄が突き落としたの?突き落としてないの?って、そこが気になって・・・まさかこういうストーリー展開が待っているとは思いもよりませんでした。上手いですね~

吊り橋は影の立役者といったところでしょうか・・ネタバレになってしまうので感想はこの辺で留めておこうと思います。

映画『ゆれる』ネタバレあり考察

画像3
(C)2006「ゆれる」製作委員会

本作では、考察する上で、ネタバレは避けられず。
まだ観てない方は、視聴後に見てみてくださいね!

モモセ

弟はどうして衝撃の証言をしたのか?

弟は、兄をかばってきていたのを一転させ、『兄が智恵子を突き落とすのを見た』旨の衝撃証言をします。
どうしてなんでしょう?

モモセ

前提として、兄は現実、智恵子を突き落としていませんでした。事件前になかった兄の手の傷が事件後にはあること、手を伸ばして智恵子を助けようとしていたところが映し出されたことから、事件ではなく事故であったことが暗に示されていました。この手の傷について、裁判上で争点にならなかったところが普通だとありえないと思います。でも、そこのところを裁判で描くと弟の証言もまかり通らなかったでしょうし、兄弟の関係を描き切ることができなくなるのであえて争点にしなかったんだと思います。兄が智恵子を突き落としていないということを裏付ける事実をあっさり視聴者に見せてもいいという作り手の考えなのではないでしょうか。

なので、弟が嘘の事実を証言したのはほぼ確定でいいかと思います。兄が智恵子を突き落とすところを目撃していていないにもかかわらず突き落としたと証言したんですよね。


この点について、私は、弟は衝撃証言の際、兄が突き落としたのだと本気で思ったのではないかとも思いました。当初弟は兄が突き落としていないと思い兄をかばっていましたが、徐々に兄の証言や当時の状況などいろいろな要素が脳裏に混じりあい記憶があいまいになって、兄は狂気的な人間であり本当に突き落としたと思うようになったのかなぁ・・・と。でも、やはり無理があるように思えてきたし、そうなると物語がぼやけてきますしね。
本作品の核となる兄と弟の関係を描くうえでもここは端的に『弟は嘘を証言した』でいいと思いました。

前振りが長くなってしまいましたが、ここからが本題~
どうして弟は衝撃発言をしたのか。ボリュームたっぷりに書こうとはじめ思っていましが、よくよく考えてみると、めちゃくちゃ単純なんじゃないかと思い始めました。

モモセ

ずばり、弟が嘘をついた理由は単純だから!!!じゃないでしょうか。
大した意味なんてないといったら語弊があるかもしれないですが、弟・猛らしさが発揮されたにすぎないように思うのです。

弟は、適当で自由人で後先のことをあまり考えない今を生きているような人
兄が長年好意を抱いていることを分かっていて、とっくに関係の終わっている智恵子とすぐに寝たし・・・
仕事のアシスタントの子とも・・・
兄が覚えているのに、子供の頃に家族で行った蓮見渓谷(事件現場)の記憶が全くなかったし・・・
とにかく今がよければよし!みたいなところがありますよね。

なので、証言台でも行き当たりばったりで感情的になって嘘をついたように私には感じられました。
証言台に立つ前、単純に兄の面会に行ったとき、腹が立ったことを言われたからではないでしょうか。
兄に『お前は俺を無実と思っていない・・人殺しの弟になりたくないだけだろ?最後まで人を信じたりしないのが、俺の知っているお前だよ』と言われたことが相当頭にきたんでしょうね。
図星だったのか、兄のことを想ってかばってきたことがばかばかしくなったのか・・・



で、いくら腹が立っていたとしても、さすがに嘘の証言をするなんて・・・と思いますが、やはり単純な男なんでしょう。殺人の罪が成立すれば実刑がつき短くない月日を刑務所で過ごさなければならなくなることは容易に想像できます。想像すれば、さすがにその刑を受ける者の身、兄の身になればとても嘘の証言なんてできっこないはずなんですが、やはりできちゃいました。

兄の性格、人間性が如実に表れた衝撃証言・・・私はこのように解釈しました

弟・猛の衝撃証言後の兄・稔の不敵な笑み・・・意味するところは?

本作の要旨は、兄の手錠をかけられたときの不敵な笑みに集約されているように思います。
どうして兄は自分が殺人の罪をかぶることになったのに笑っているのでしょうか。

モモセ

結論的には、兄の目論見どおりに事が進んで、してやったりという感情が沸いて出たのではないかと思います。

もちろん、智恵子が死んでしまったことに対する罪悪感は、一緒に現場にいた以上あるでしょう。
そこは悔やんでも悔やみきれないことだと思います。

でも、この事故を通して、兄の望みはただ一つ・・・弟への復讐だった。その復讐が今から本格化する・・・そう高鳴る期待みたいなものが兄にはあったのではと思います。

復讐は着々と兄の中では進んでいたと考えればしっくりきます。


まず、裁判の中で・・・
『智恵子は事件の前日に他の男性と肉体関係を持っていたために、稔を拒否したのではないか』という検察からの尋問に、兄は『そんな人がいたことは知らなかった』と証言します。そして、裁判での席で、証言台に背を向け弟のいる傍聴席に向かって深々と申し訳なかったとお辞儀をしたのでした。
事件前夜、弟と智恵子が二人っきりであることを知っていたこと、夜遅くに帰ってきた弟に智恵子が呑み助で大変だろうとかまをかけた(本当は智恵子は下戸)ことから、弟と智恵子との関係性を察知していたことは確かなのに。
法廷での兄の態度や言動は何を考えているのかわからず不気味でゾクゾクします。

さらに、面会中に・・・
兄は面会時に弟にこのような旨のことを話していました。
『自分は田舎のガソリンスタンドで毎日変わりばえのしない単調な仕事をして、好意を抱いている女にも興味も示されず、親父から講釈。おまけに殺人者扱い・・・このままガソリンスタンドで働くより、いっそのこと刑務所暮らしの方がマシだ』と。
弟に比べてどうしようもない人生を送っているひがみから投げやりになっている様子がうかがえました。
弟にそんなことないよと言われ、はらわたが煮えくり返って感情を爆発させていました。
そして、前述したように『お前は俺を無実と思っていない・・人殺しの弟になりたくないだけだろ?最後まで人を信じたりしないのが、俺の知っているお前だよ』と弟に吐く。
兄は弟の単純な性格をわかっているので、カッとなるようなことをあえて言ったのはないでしょうか。
自分が殺人者だと証言してくれるであろうと期待を抱いて

このように、いつの間にか膨れ上がった憎悪を復讐という形で示すことを虎視眈々とねらっていたように思えてなりません。

そして、手錠をかけられたとき兄はきっとこう思ったと思います。
犯罪者の弟になった屈辱を味わえ~!!!
自分が嘘をつき兄をおとしめた罪悪感にさいなまれろ~!!!
二重の苦しみを味わえ~

兄が『最後まで人を信じたりしないのが、俺の知っているお前だよ』と言ったとおり、弟は兄に知り尽くされ、揺さぶられ、兄を信用できなくなり嘘をついてしまいました。
兄の方が一枚上でしたね。

ラストの兄の笑みの意味は?バスに乗ったの?

ラスト、兄は刑期を終え、バス停に向けて走っていました。
そこへ、涙ながらに『兄ちゃん、家に帰ろう』と叫ぶ弟に気づき、笑みを見せます。

一見すると弟が反省したのを見て受け入れたかのように見えますが・・・
果たしてどうだったのでしょうか?

モモセ


バスに乗って一人去っていったか、弟と一緒に家に帰ったか視聴者の解釈に委ねられているところだと思います。

結論的に、私は笑みを見せながら一人バスに乗って行ってしまったと思います。
復讐の第一章が終わって、ここから第二章のはじまりなのかなと
復讐を果たせたことと、これから続く復讐への期待がここでも笑みとなったのではないかと

弟が7年の間に一度も兄を面会しに行かなかった事実をどう兄が受け取ったか分かりませんが、苦しんでいる弟の様子も伺い知ることができず復讐しているという実感がなく、兄としてはいい気分ではなかったのではないでしょうか。でも、弟は出所する兄をわざわざ迎えにきて、涙ながらに「兄ちゃ~ん」と叫んでいる。兄は何かしらの弟の反省の色を感じ取ったはずで、ここにきて初めて復讐したことを実感できたのではないかなぁと勝手ながら想像しました。

弟と一緒に家に帰れば、殺人者のレッテルを貼られ、苦しい思いをしながら、単調なガソリンスタンドの仕事をこなすだけの毎日です。さらに、父親の世話・介護まで・・・。ガソリンスタンドで働くのも刑務所にいるのもさほど変わりはしないのであって、わざわざ自分からまた家に入っていくことはしないだろうと推測します。弁護士のおじさんのこともあまり快く思っていなかったのも、家業を父親を押し付け自由に弁護士として生きているおじを兄と重ね合わせていたからではないでしょうか。

一方、バスに乗れば新しい人生のスタート。今までのような閉ざされた暮らしの鬱憤を晴らすことが出来そうですし、地元でなければ殺人者であると後ろ指さされることもほとんどないでしょう。何よりも、父との連絡も断って、父の介護や看病も弟がせざるを得ない状況をつくりだすことができます。これこそが、弟への復讐。父のことを疎ましく思っていたというよりも、年がら年中父親と顔を突き合わせて暮らしていくことの大変さを弟に味わってもらいたいということだと思います。弟の自由な生き方に対する戒めですね。

なので、弟への復讐続行で、バスに乗る選択を兄はしたと思いますね

復讐、復讐と書いてきて、兄はとんでもない極悪人であるとやはり思えてくるのですが・・・実際は、弟想いの兄であったと信じたいです。復讐は、可愛さ余って憎さ百倍弟を愛していたが故の兄の嘆きであったと言い換えて考察を閉じることにします。

まとめ

いかがだったでしょうか。

解釈の分かれる映画は、考察が熱くなってしまいますね。

人それぞれの解釈があっていいと思うし、作りてさんもそれを望んでいると思います。

どんな解釈にいたるでしょうか。

ぜひ、この機会にご覧ください。

 

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