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映画『ミス・エバーズ・ボーイズ~黒人看護師の苦悩』の感想・考察

2021年1月27日

今回は、数十年にわたるタスキギー実験の実話に基づいた作品『ミス・エバーズ・ボーイズ~黒人看護師の苦悩』です。

アルフレ・ウッダード(看護師ユーニス・エバーズ役)主演の1997年のアメリカ映画で、エミー(R)最優秀テレビ映画部門賞受賞作。

興味がある人

職業を遂行する上での葛藤みたいなのが描かれている作品が観てみたいなぁ
映画を通じて色々考えてみたいと思ったりするんだよね~

知らない世界を知って、いろいろ考えることって大事だよね~
『ミス・エバーズ・ボーイズ~黒人看護師の苦悩』は、考えさせられるにぴったりの作品じゃないかなぁ
アフリカ系アメリカ人男性に向けての政府の医学実験のストーリーなんだけどね。

モモセ
興味がある人

黒人に対しての実験というところが気になるなぁ
そういう実験があったこと自体知らなかったなぁ・・・

そうだよね・・・私も知らなかった。
職業倫理について考えるいいきっかけになるね。
看護師という職業に限らず、あらゆる職業にも通じる倫理観。
難しい問題だねぇ

モモセ
興味がある人

興味深い内容だなぁ
みどころなんかも教えてほしいなぁ

まだ観てない人にも読んでもらいたく、私なりの視点になりますが、つづってみたいと思います。

映画『ミス・エバーズ・ボーイズ~黒人看護師の苦悩』の作品情報

あらすじ

1973年、米上院健康問題小委員会は、タスキギー梅毒実験について調査していた。

この研究の開始から終了まで40年間看護婦を勤めたユーニス・エバーズ(アルフレ・ウッダード)の証言を基に、実験が行われた1932年からの回想シーンが描かれる。

当初、アフリカ系医師と看護師ユーニス・エバーズが中心となって、タスキーギ大学系列のタスキーギ病院で、蔓延していた梅毒患者の治療にあたっていた。ルーズベルト大統領の政策で、無料で検査・治療できるものであったため、多くのアフリカ系アメリカ人も検査を受けることができた。

ユーニス・エバーズの献身的な姿に感化され、ダンスバンドを組む4人のアフリカ系アメリカ人の男らは、彼女の名前をバンド名に掲げ、『ミス・エバーズ・ボーイズ』と命名し、ダンスを踊り、いろいろな地域のコンクールで優勝した。彼らと彼女はよい友人関係を築いていた。

彼らも梅毒に罹患していた・・・・でも、ユーニス・エバーズの支えもあり、陽気だった。

やがて、蔓延が過ぎ、検査・治療を受ける人が多く、資金不足となり無料の治療政策は破綻した。

打開策として、梅毒患者を治療しないで放置するという人体実験(黒人の患者を放置する実験)を行うに至った。

白人と黒人の梅毒患者の症状経過が同じかどうかというデータが必要であるという政府の提案を受け入れるに至った看護師ユーニス・エバーズたち。

看護師としての使命感から梅毒患者を救いたい・・・でもどうしたらいいのか・・・悩みに悩む彼女。

そして、彼女の選択した道とは・・・

映画『ミス・エバーズ・ボーイズ~黒人看護師の苦悩』の感想

ミス・エバーズ・ボーイズ~黒人看護婦の苦悩』(1997) 悪名高きタスキーギー実験を基に、ヒューマンドラマに仕立てたHBOの佳作|cymro  アマゾン殿堂入りレビュアー|note

看護師役アルフレ・ウッダードの強く、優しく、たくましい姿に心打たれる!

黒人看護師ユーニス・エバーズ演じるアルフレ・ウッダードの存在感が際立っていました。

不作為の殺人みたいなことが黒人の罹患者に対して行われているという究極の差別施策の中での唯一の光が看護師の彼女だったからです。

アルフレ・ウッダードが内心の苦脳を見せないようして、ふるまう姿が印象的であり、心苦しくもありました。

治療ではない人体実験においても、泰然自若というにふさわしい冷静な態度を見せていて、芯の強い女性を演じておられたのですが・・・

黒人梅毒患者と接するときは、包み込むような優しさのオーラを放っていたように見えました。

一見両立しえない雰囲気を上手く使い分けているところに、黒人の梅毒患者への愛を感じることができたと同時に、彼女の女優魂を見せつけられた気がしました。

40年の看護師人生の重みが感じられるストーリー展開!

人体実験に加担した黒人看護師ユーニス・エバーズが自分の人生を振り返りながら証言していくというストーリー構成になっています。

非人道的な人体実験の全貌が証言と共に明らかになっていくことで、より一層この事件の残酷さを物語っているように思いました。

事件がなぜ起こるに至ったのか・・・
事件によってどうなったか・・・
ユーニス・エバースのしたことや思うところ、
粛々と語られる中で、視聴者である私たちも自然と問題意識を持ち、彼女と気持ちを共有することができるのではないでしょうか。

ミス・エバーズ・ボーイズたちの描写に心がえぐられる

タイトル『ミス・エバーズ・ボーイズ』とあるように彼らにスポットライトがあたった描写が沢山ありました。

黒人看護師ユーニス・エバーズの看護師人生において愛おしい存在たちです。

梅毒が治ると信じて治療という名の実験を激しい痛みに耐えながら受ける彼ら・・・
梅毒から解放されダンスに明け暮れる未来を夢みている彼ら・・・

そんな彼らをそばで支える彼女の一番の葛藤・苦悩は、愛おしい彼らに最善を尽くすことができないというはがゆさではなかったでしょうか。

彼女は彼らの一人の命を救う行動に出ます(詳しくは書けませんが)。

犠牲になっていく愛おしい存在を見過ごすことができないという彼女の気持ちが何よりも先走るシーン

法を犯してでも守りたいもの。

彼女の素直な気持ちが行動に現れた唯一なシーン・・・ここは、彼女と彼らの絆の深さを語る上ではずせないシーンで、みどころですね。

映画『ミス・エバーズ・ボーイズ~黒人看護師の苦悩』の考察

ユーニス・エバースの看護師としての決断は正しかったのか?

ユーニス・エバースは、ある決断をします。

彼女は、梅毒患者の生命を救うという使命感と人体実験に加担するという命令に従うことの板挟みになっていました。

決断は、苦悩に苦悩を重ねたものであったことは彼女の人生を見れば明らかですが、結論的には正しい選択であったと私は思います

彼女だから・・・そういう選択をせざるを得なかったという方が正しいのかもしれません。

この作品きっかけで、看護師の職業倫理を考えたとき、ふと思い出したことがあります。

祖母が介護施設にいた時のことです。

当時、定期的に医師と看護師が祖母の個室へ診察しに来ていました。

ある日、祖母はトイレの最中に膝をついてしまったようでした。なのに、医師は、祖母の膝に手を当てたり祖母に痛みの状況を尋ねたりせず、「大丈夫ですよ~大したことはないですよ。」と言い、看護師も「大丈夫です。」と同調。医師らが帰った直後に、祖母は生欠伸をし、吐き気をもよおし、母が膝を押すと痛そうにしたのでした。結局、骨折と後日判明しました。

また別の日には、足の指を低温やけどをした祖母の治療にあたって2回目の診療で、1回目の足の指の様子が写ったタブレットだけを見ながら「だいぶ、よくなりましたかね?」と祖母に聞く。看護師も横で突っ立っている。うわべだけの診察。

思い出せばきりがないですが・・・

杜撰で頼りない医師にただただそばに付いている看護師という光景が今でも目に焼きついています。

医師は医師でひどいのですが、看護師も何なんだろうって怒りがこみ上げてきました。

医療行為において看護師は医師に従わないといけないのは当然です。

でも、素人の目からでも明らかな医師の不適切な行為は、もはや医療行為ではなくて人間性を疑う行為であると思うので、看護師は意見していいと思うのですが、それもだめなのでしょうか。

もし付いていた看護師が、医師に意見したくても我慢して、医師に付き添うという職務をただただ遂行していたというのであれば、何だかやり切れないない気持ちになります。

看護師の職業倫理とは、患者の心身状態を細かく観察し、患者の不安を少しでも取り除く、少しでも気になるところがあれば自発的に看護行為の範囲内で行動することだと思うのですが・・・そこには、もちろん人としての気遣いだったり、優しさだったりが含まれているはずです。

でも、医師の前にあっては、そういう人間性の面さえも骨抜きにされてしまう現実があるのかもしれません

どんなことでも医師に服従しないといけない看護師という図式が出来上がっているのかもしれません。

看護師が医師には意見することができない図式は、社会のあらゆるところで存在すると思います。

ここで、本作品に話を戻します。

本作品の政府と医師の関係も・・・人命救助という人間の最たる尊厳をもってしても医師が政府に口出しすることが出来ない図式が出来上がっていました。

そんな中で、看護師一個人のユーニス・エバースが頑張って活動したりして、意見が通るのでしょうか。

看護師は看護行為の範囲内で行動することが求められているというのが職業倫理であり、治療行為をするかしないかという医療的判断、さらには人体実験をすることにより黒人の地位向上云々の政治的判断は、看護師の職業倫理を越えていて、関与しても徒労に終わってしまうことは想像に難くないです。

ユーニス・エバースは、この点をしっかりわきまえて逃げずに自分の職業倫理を全うしたと思います


現に、人生を振り返って、彼女はこのような旨の証言しています。

「・・・梅毒患者たちを愛をもって接していた。」と。

制約された図式の中での、精一杯看護師として生きた彼女の言葉に私は胸が熱くなりました。

そういえば、ユーニス・エバースは、医師の患者に対するぶっきらぼうな薬剤の説明を横で聞いていて、医師の威厳をくずすことなく、患者に安心感を与えるようにオブラートに包んでわかりやすく説明しなおしていました。

やはり最高のナースです!

いつの時代にも『分断が・・・』~コロナ渦で本作品を観て

黒人差別が浮き彫りとなったタスキギー梅毒実験。

非人道的な実験で、治療という名のもとに放置された黒人梅毒患者たちが沢山犠牲になってしまいました。

本当に悲しいことです。

うわべでは・・・
黒人の地位向上のため”
”肌の色が違っても白人と黒人は同じであることが証明できる
”歴史を作るチャンス”
などと目的を掲げて人体実験を行ったわけです。

信用ならない目的のために手段を選ばないー黒人を見殺しにするという手法。

その手法でもって、白人と黒人との分断がいっそう深刻化してしまいました。

政府が、この事件の結果を踏まえて、いかなる対応をしたのかについて明らかにされていますが・・・

いずれにせよ、黒人に対する差別は時代を越えても消え失せることはないのですよね。

2020年~世界共通でのもっぱらの関心事は、やはりコロナですよね。

このコロナ渦において、白人と黒人の分断と同じようなことが起こっているといいます・・・しかも日本で

コロナに罹患し自宅で不安の中耐え、耐えきれず死にゆく人がいる一方で、コネを使ってすぐに入院することができる人たち。

コロナ社会での、富裕層や著名人と貧困層との分断です。

こればかしは、他人事ではありません。

さらに今、ワクチン接種というありがたいのか厄介なのかが分からないものの話がでてきています。

これが分断に拍車をかけなければいいのですが・・・

カネの力でワクチン接種・・・考えられます。

平等にある命の選別がここでも行われ、ワクチンを受けられない層が出てきて・・・ということはありませんように・・・祈るばかりです。

凶器化した人体実験になぞらえて、凶器化したワクチンとならないために、政府には分断がこれ以上生じないような適正な判断をしてもらいたいですね。

まとめ

見てきましたが、まだまだ書いていないことでみどころあるんですが・・・あえてそこは控えています。

ユーニス・エバースという黒人看護師の視点で描かれた本作品を通して、知らなかった新たな黒人差別、職業倫理について考える機会に恵まれました。

本当に映画は未知との遭遇でいいですね。

これからも作品を通してあーでもない、こーでもないといろいろ考えて、書いていけたらなぁと思った次第です。

ぜひ、この機会にご賞味あれ。

以上

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